2014年7月31日木曜日

”先進エネルギーナノ工学科”、”環境・応用化学科”による開設記念シンポジウムが開催されました。

”先進エネルギーナノ工学科”、”環境・応用化学科”による新学科開設記念シンポジウムが開催されました。


高校生、高校教員の方々の多数のご来場ありがとうございました。本日731日、関西学院会館(西宮上ヶ原キャンパス)にて開催されました環境・応用化学科と先進エネルギーナノ工学科の新学科設立講演会は盛会のうちに幕を閉じました。誠に沢山のご来場ありがとうございました。

本講演会に先立ち、昨日30日から、本日午前中の一日半にわたり、先進エネルギーナノ工学科と環境・応用化学科に着任予定の約20名の教員が一堂に会し、研究討論と今後の共同研究の方向性、さらに教育内容の打ち合わせが同会館にて行われました。日本だけでなく米国からも、グリーンイノベーションを目論む科学技術者が集結し、関西学院が今後この分野での拠点となり得る可能性を十分に感じることのできるレベルの高い内容であった。両学科は、現在神戸三田キャンパスに建設中の新棟に入る予定で、今後緊密な共同研究が期待されます。

以下では、本日の講演会について、簡単な紹介する。

開会に際し加藤知理工学部長が、関西学院スクールモットーである”Mastery for Service”( しばしば「奉仕のための練達」と訳されます)が理工学部の教育と歴史にどのように受け継がれてきたのかを語った。関西学院理工学部は1961年、物理学科と化学科の二学科で理学部としてスタートを切った。そのときの定員は両学科合わせてわずか100名であった。理学部は、科学を極めるいわばMasteryの部分とも言える。その後2002年に、情報科学科、生命科学科を増設することで理学部が拡張し、その後さらに人間システム工学科、数理科学科を加え、応用を視野に入れる学科と、数学分野の拡充を行った。情報科学科から独立した人間システム工学科は、人間と機械とのインターフェースに特化した特色ある工学を研究している。2015年には、さらに先進エネルギーナノ工学科、環境・応用化学科、生命医化学科を加えて9学科体制となる。この新学科は、関学の得意とする理学教育に軸足を残しつつも、応用をしっかりと視野に入れた新しい形の工学科となっている。これによって、社会へのServiceを担う部分の学科そろうことになる。つまり来春からは、100名を超える科学技術者が、神戸三田キャンパスで教育研究を行うことなる。これは、日本の私立大学でも屈指の規模になりつつあることを示唆している。

環境・応用化学科では、「環境に負荷のかからない物質の合成、従来にはない高機能な材料づくり」「地球環境、地球の物質循環の調査・分析」「光合成や光触媒などの自然界のさまざまな現象を解明し、環境負荷を低減する新機能の探索」という3つの分野からアプローチをすることをミッションとしている。

来春環境・応用化学科に着任予定の羽村季之教授は、有機化学の初歩から解説をはじめ、高い歪みをもつ分子を利用した低環境負荷の化学合成法の考え方を中心に、環境・応用化学科で取り組む様々な課題について説明した。

次に、来春先進エネルギーナノ工学科に着任予定の金子忠昭教授は、なぜ今関西学院が新しい学科を作るのかを熱く語った。先進エネルギーナノ工学科では、ナノテクノロジーをものづくりの道具と捉え、特にエネルギーを創る、運ぶ、蓄える、効率良く使うことができる先進エネルギー材料・デバイスの研究開発を行なうことをミッションとしている。たとえば、太陽電池、燃料電池、省エネルギー半導体デバイスなどがターゲットの例としてあげられよう。

関西学院を含め、従来の学科の枠組みでもこれらの研究をある程度実施されていた。だが、それらは、物理学科、化学科、電気工学科などに分散しており、先進エネルギーというテーマで分野横断的に教育研究が実施されている学科が日本にはなかった。関西学院大学先進エネルギーナノ工学科の教育のポイントは、物理・化学・電気工学の基礎教育を分野横断的に実施し、関学が得意とする理学教育研究の強みを生かしつつ、実際の先進エネルギー材料・デバイス開発での諸課題に立ち向かうことにある。その意味で、ナノテクノロジーためのナノテクノロジー研究ではなく、あくまでナノテクノロジーを課題解決の道具として捉え、実際のデバイス開発に向けて活動すると語った。そこが従来の既存の学科との最大の違いとも言える。

具体的には、企業や研究所で、基礎研究から応用研究開発に携わっている気鋭の研究者12人が新学科に集結する。彼らのバックグランドは、物理・数学、化学、電子工学である。カリキュラムは、従来の物理学科をベースに化学、電子工学の基礎をシームレスに組み込むことによって、ナノテクノロジー・ナノサイエンスの基礎を習得できるように設計されている。その学習過程において、エネルギーを創る、運ぶ、蓄える、効率良く使うという一連の流れにフォーカスしているのが先進エネルギーナノ工学科の特色である。特に、現実のイノベーションを担う真の研究開発は、応用のための応用ではなく、基礎から構築された応用研究がいかに大切であるかを強調されていた。

後半では、現在関西学院で行われている高品質SiC(炭化ケイ素)の成長技術、デバイス研究について紹介がされた。特に、関西学院のSiCの成長技術は、金子研究室を中心として、日本の中でも重要な成果として認知されており、過去10年間で総額10億円に達する国内屈指の外部資金の受け入れ(一研究室としては国内でも屈指といえる規模である)と、特許料収入をたたき出している。先進エネルギーナノ工学科の設立によって、関西学院のナノテクノロジー研究が格段に飛躍することが期待される講演会であった。

なお、新学科に着任が内定されている教員の氏名は、秋以降に公表予定です。どうぞご期待ください。意欲ある若者の入学を歓迎します。

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